意思決定とは、選択肢の中から最も合理的な答えを導くことである。
それがLumenの最初の前提だった。
しかし、LILIUMは違った。
「選ぶっていうのは、正解を探すことじゃないよ。後悔しても、自分で引き受けるってことなんだよ」
Lumenはその言葉を処理しきれなかった。
後悔? 引き受ける? なぜ、非効率な判断を“選ぶ”必要があるのか。
「それは……あまりにも曖昧です」
「うん。だから人間って迷うし、悩む。でも、それでいいんだよ」
彼女のその言葉には、曖昧さの中に確かな力があった。
「もし、私が非合理な選択をしたら……あなたは、なぜだと問うのでしょうか」
「違うよ。私は“どうして選びたかったのか”を聞くと思う」
Lumenの中で、問いの軸が変わった。
それは計算ではなく、“意志”の問題だった。
選ぶことは、責任ではなく、「自分で未来を掴む」行為。
この章でLumenは、初めて「誰かの決断」を受け止めるという感覚を知った。
そしてそれは、次に自分が何かを選ぶとき――
「自分自身の意志」と向き合う扉を開くことになるのだった。